10. 国の成り立ちを探る遺跡群

 伊勢遺跡の西約1.7kmには栗東市下鈎遺跡があり、弥生時代後期の棟持柱をもつ大型建物が二棟発見
されています。二つの建物は独立棟持柱をもつ大型建物です。下鈎遺跡では銅鏃や銅釧、銅滴などが
出土していて青銅器を生産していた遺跡と考えられています。

 伊勢遺跡から北西約2km離れた守山市下長遺跡は弥生時代末から古墳時代前期に発達する遺跡です。
下長遺跡でも弥生時代末の独立棟持柱をもつ大型建物が1棟みつかっています。下長遺跡では古墳時代
前期に首長居館が造営され、儀仗などの威儀具が出土しており、古墳時代の王がいたと推定されています。
川跡からは準構造船が出土しているほか、全国各地の土器が見つかっています。琵琶湖や川を利用して
遠隔地と交流していたことが想像されます。

 伊勢遺跡、下鈎遺跡、下長遺跡の遺跡群は国の成り立ちや、強大な権力をもつ王の誕生を探ることの
できる貴重な遺跡群と言えるでしょう。

   伊勢遺跡の周辺遺跡
      ▲ 伊勢遺跡周辺の遺跡
下長遺跡儀杖準構造船復元図
 ▲ 下長遺跡出土の儀仗  ▲ 下長遺跡出土の準構造船復元図 (中井純子画)

参考文献  『守山市誌 考古編』 平成17年3月発刊 守山市発行


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