5. 東西日本の結節点

 近畿地方では弥生時代後期の大型建物のある遺跡は少なく、伊勢遺跡の特異性が際だっています。
伊勢遺跡から東へ約8km離れた野洲市大岩山では24個もの銅鐸が出土しています。突線紐式と呼ばれる
弥生時代後期につくられた銅鐸ですが、西日本に分布する近畿式銅鐸と東海地方に分布する三遠式銅鐸
が一緒に埋納されていました。銅鐸が埋められた時期は弥生時代の終わり頃と推定され、伊勢遺跡の衰
退期に重なっています。弥生時代の終わり頃に、東西の銅鐸が野洲川流域に集められ、埋納されている
ことから、伊勢遺跡は東西日本の結節点として機能していたとも考えられます。
 古墳時代の開始に先立って、東西のクニの長が、伊勢遺跡に集まって、祭祀を行い、政治的な協議を
行っていたのではないかとも考えられています。


銅鐸の形とその種類
   ▲ 銅鐸の形とその種類(「小篠原大岩山出土の個人収蔵銅鐸について」 進藤武
              『野洲町立歴史民俗資料館研究紀要 第4号 1994年 より加筆転載)


 手焙り型土器   土玉 
  ▲ 伊勢遺跡から出土した手焙り型土器   ▲ 水銀朱が塗られた土玉 (方形区画内出土)


6章 多種・多様な大型建物  伊勢遺跡Topに戻る