4. 円周状配置の大型建物
大洲地区では円周状配置の建物群の外側に幅3〜6mの弧状にのびる区画溝があることがわかって
きました。約18m間隔で弧状に配置された建物は独立棟持柱(どくりつむなもちばしら)を持ち、
梁行(はりゆき)1間×桁行(けたゆき)5間(約4.5m×約9m)で規格性が見られます、壁の外側に
棟持柱があり、屋内の中心部にも心柱があるのが特徴です。両外側の柱は、屋根の棟柱を支える柱で、
少し内側に傾斜して建てられ、中心部の柱はやや細いものが使われています。
独立棟持柱があり、心柱を持つ点は、伊勢神宮本殿にも共通するもので、建築学の宮本長二郎氏は、
伊勢遺跡で次々並んで発見される祭殿は伊勢神宮本殿の創立に深くかかわりをもつ遺跡と評価しています。
(宮本氏論文参照)
「伊勢神宮の名称は神宮としては新しいが、地名が同じであることや、守山市と伊勢市の距離
の近さを考え合わせると、伊勢・大洲遺跡の祭殿遺構は伊勢神宮の創立と不可分の関係にあったものと思える」
(神宮本殿形式の成立『瑞垣』183号 平成11年 神宮司庁刊)
▲ 棟持柱をもつ大型建物 (SB−12) ▲ 棟持柱をもつ大型建物 (SB−8)
▲ 棟持柱をもつ大型建物 (SB−9)と大型竪穴建物 ▲ 棟持柱をもつ大型建物(SB−4)
▲ 大型建物 円周状配置想像図
▲ 円周状配置の大型建物群想像図(小谷正澄氏作成)